最近読んだ本

クオリア入門―心が脳を感じるとき (ちくま学芸文庫)

クオリア入門―心が脳を感じるとき (ちくま学芸文庫)

説明が大変判りにくい。読んでて苦痛。
認識論を素人向けに語る際の語りにくさは判るけれど、哲学を聞きかじって書くとこうなってしまうのだろうと思う。というのも「ハードプロブレム」とか「無限後退」などの言葉が間違った文脈で使われていて相当混乱した。


もっと専門家としての立ち位置で論じる方が、学問領域の広報としても役立つと思う。
作者は最近よくTVに出てきているが、恐らくちゃんとした書籍を書く方が余程有益。


認識論の教科書という意味では

哲学のまなざし―認識論入門 (富士叢書)

哲学のまなざし―認識論入門 (富士叢書)

が確かドイツで使われた教科書だったと記憶している。
科哲在籍時に読んだけど、それなりに面白かった記憶あり。


ヤバい経済学 [増補改訂版]

ヤバい経済学 [増補改訂版]

今更読んだけど、残念な書籍。
社会学などの統計データの読みで面白そうな部分を掻い摘んで教えてくれる、ただの雑学本。


へー、それで?という感じ。政策論につながる話も皆無。
意味があるのだとすれば、統計解析の啓蒙?今更。


一番議論になりそうな「中絶合法化がアメリカの犯罪率低下に寄与した」という話も、
別に他国の状況に適用できる話ではないし。


鈴木先生 (1) (ACTION COMICS)

鈴木先生 (1) (ACTION COMICS)

以前話題になってたマンガ。
話題になるだけあって面白い。
子供と同じ視線になって話し合うスタンスの教師の過剰な内面描写は圧巻。
ただ教師の思考も外部社会を参照するものでは無く、あくまで学校内のロジックに止まっているため、教室という場に囚われた生徒・先生の閉塞感が強く押し出されている。


でも実際の教育現場って、ここまで閉塞感に充ち満ちているんですかね?
給食の話も、給食というものを見たことが無い私学育ちの私には良くわかりませんでした。


湾岸MIDNIGHT(38) (ヤンマガKCスペシャル)

湾岸MIDNIGHT(38) (ヤンマガKCスペシャル)

地上の戦闘機=チューンドカーにおけるゼロ戦を作ろうとホンダSをターボ化するユウジ編。
ゼロ戦の特性を「旋回性」に求める議論は、本書に限らず多く目にするが、やっぱり違和感がある。


ゼロ戦の凄い部分は、ないものねだりを実現したことにある。
当時、非力なエンジンしかない状況下で軍部が要求した運動性能は実現不可能な仕様。
設計者「堀越次郎」は試行錯誤の末、機体の軽量化を極限まで推し進め、ついには軍部仕様を満たした零式戦闘機が完成する。
この当たりの話は

零式戦闘機 (新潮文庫)

零式戦闘機 (新潮文庫)

に詳しい。


この観点から言えば、ボディを刻みパイプフレーム化して軽量化を図っているポルシェ911の方がゼロ戦的なんではないだろうか?