虐殺の基準

南京大虐殺についての議論が良くわからない。
なぜ30万人という数字が論点になるのだろう。
単に国際法上違法かが論点では?


国際法上違法なのであれば、単に違法を裁くだけで事足りる。
どちらにせよ裁く法廷はある訳で、裁かれていないから裁く必要があるなら、事実を明確にして裁けばいいだけの話。


つーことで、ここでは逆説的に数字から虐殺を考えたい。
勿論、殺された数で比較なんか出来る訳ではないけれど、敢えて比較出来る振りをして。

虐殺を得意とするのは戦時では無く、寧ろ平時国家

虐殺全体で考えれば中国という国家は他国を非難出来る状況には無い。
なぜならば虐殺を得意とするのは戦時では無く、寧ろ平時国家、特に共産国家が得意としてきたことだから。


中国も国内での虐殺は数多く、南京虐殺に部分的な反論するよりは、それを受けて中国国内問題に踏み込む返しをしたほうがよほど適切な返しだと思う。勿論、対中外交の観点では無く、世界での理不尽な虐殺を少しでも食い止める観点から言っている。


戦時の虐殺が悪いことには変わりないが、国際法による司法の場はあるし、現代戦では期間も短く、民間人被害者数も制限される。
その点、国家による虐殺は2つの観点からタチが悪い

  1. 国内問題のため他国、国連が干渉しにくい
  2. 期間が長期に渡り易く、被害者数が膨大となる


国内問題の場合、世界的に課題として認知されているにもかかわらず手出しを出来ない状況も多く存在している。中国を例にすれば、チベットが挙げられる。


また虐殺の規模から考えると、戦争での民間人虐殺よりも恐怖政治による国内虐殺の方が圧倒的に死傷者数は多い。残念ながら30万人という数字はその他虐殺の死傷数と比較するとそれほど大きくは無い。戦時中の虐殺はたかだか10万オーダーであり、平時の虐殺は100万〜1000万オーダーに達する。

虐殺の規模

虐殺にまつわる数字の話を補足。

例えば戦争中の二次大戦の民間人虐殺の例では、東京大空襲や広島・長崎の原爆投下も半端無い。とはいえ空襲被害者は総計で558,863人(内原爆による死者334,228人)。*1



一方でホロコーストでの犠牲者数は1000万人のオーダー。

犠牲者について正確な資料が残されていないため、特に後期の犠牲者の数を推測するのは困難である。なお、ユダヤ人の定義は国や時代によって異なることに留意すべきである。
<中略>
合計すると1,100万人前後 (ユダヤ人600万人、非ユダヤ人500万人) となっている。


国家の方針レベルで行われると、規模、継続期間にもよるもののやはり犠牲者数は大幅に増える。この継続期間が最も長かったのは各国の共産主義体制が挙げられる。

共産主義体制により殺害された犠牲者数(http://www.asahi-net.or.jp/~VB7Y-TD/kak2/1209301.htm)

  1. ソ連       2,000万人
  2. 中国      6,500万人
  3. ベトナム      100万人
  4. 北朝鮮       200万人
  5. カンボジア     200万人
  6. 東欧         100万人
  7. ラテンアメリカ    15万人
  8. アフリカ       170万人
  9. アフガニスタン  150万人

人口にも寄りますがソ連、中国共に1000万オーダー。

*1:http://www.ne.jp/asahi/gakudosokai/s.y/sub59kuushyu.htm記載データより1994年東京新聞集計値を使用