人々はなぜグローバル経済の本質を見誤るのか

人々はなぜグローバル経済の本質を見誤るのか

人々はなぜグローバル経済の本質を見誤るのか

今更、読んでみました。

試論的な話と、よく知られた話と、ズレた話から構成されていて、
その選り分けが出来るなら、読んでもいいかなという本。


ざっと概要。(記憶に任せて書くので、要修正)

  • 1995年以降、世界は新しい世界経済システムに入った。特徴は3点
    • 「帝国化」
    • 「二極化」
    • 「金融化」
  • 結果、世界システムは経済成長率が少ない先進国と成長率の高い途上国に棲み分けに。
  • 経済システムは経済のサイクルは長期化=不安定化
      • 最も影響を与えると想定する米国消費のサイクルが長期化
  • 日本は今後、エネルギー・物流に対して課題
    • 世界的なエネルギー、食糧危機への対応が求められる
    • 国内経済の成長率を高めるため、生産性の低い物流に改善が必要


試論的な話は、1995年以降に新しいシステムに入ったという話。これは検証不可能。
ズレた話は「帝国化」の話。そのほかの部分はよく知られている話だし、マクロの資料を使って裏付けようと努力もしてるし、違和感も少ない。


「帝国化」。ネグリ&ハート「帝国」以来、この言葉は良く使われているけど、どうも使う人によって意味が違って困ってしまう。

<帝国> グローバル化の世界秩序とマルチチュードの可能性

<帝国> グローバル化の世界秩序とマルチチュードの可能性

本書では素朴に帝国主義的国家をイメージしているようで、アメリカ・中国などの軍事費が伸びていることを指摘している。残念なことに本書内では安全保障と世界経済システムとの関連が議論されておらず、正直、意図が分からない。


もし、国家間でのパワーゲームを取り上げるならば、世界標準の話や、規制緩和圧力の話をするほうが筋がよいだろう。
例えば以下。あくまでアメリカの対日要求だけに議論を絞っているけど。

拒否できない日本 アメリカの日本改造が進んでいる (文春新書)

拒否できない日本 アメリカの日本改造が進んでいる (文春新書)